【『BORN TO RUN』の先に見える世界】
NUMBER DO PLUS vol.20(ナンバードゥ・プラス)
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
本日の一冊は、『ランの未来 NUMBER DO PLUS vol.23(ナンバードゥ・プラス)』の最新刊。
タイトル通り、過去・現在・未来へとどのように変化をし、今後どのように変化していくのかをさまざまな専門家や著名人によるインタビューを紹介しながら、掘り下げた一冊。あの世界的ベストセラー『BORN TO RUN』の著者、クリストファー・マクドゥーガルの独占インタビューも。
堀江貴文さんの書籍にはすべて一読していますが、今号でもマラソン大会への提言として、鋭い意見を述べており、読者はきっと「そういう考え方もある」と頷くはずです。
個人的に非常に興味を持ったのは、RUNイノベーションで登場する『自撮りドローン』。
ボディ部分は腕時計ほどの大きさで、センサーをつけたユーザーを自動的に追尾し、カメラで撮影し続けてくれるというもの。もしこれが完成すれば、誰もが迫力のあるトレイルランニング映像を撮影することも可能になるかもしれません。ただそこにはドローンの利用に関する法令や使用上のマナーといった問題もありますが、来年の発売が非常に楽しみです。
本書の中身を見て行きましょう。
▼ここから
森の中を駆け回る彼の姿。それはモンキーの動きに近い。彼はそれを”アスレティシズム”と呼んでいる。今、マクドゥーガルぅーが目指しているランニングのスタイルだ。
マクドゥーガルは、楽しさを、クレタ人の食からも見出した。クレタ島はその峻険な地形から、穀物があまり育たず、獲れるのは自然に育った野菜や肉、魚介類が中心だ。クレタ人は炭水化物や糖をあまり摂取しない食生活を、穀物文化が欧米で浸透した第二次世界大戦後も続けてきた。
スコット・ジュレクは肉を食べませんが、私は食べます。2人ともそのチョイスが自分の身体にとって快適だからです。
東京マラソンはシティマラソンじゃないって言うんです。日本の都市マラソンはゴールに近づくにつれて、どんどん寂しくなる。でも本来は一番きついところに一番いい声援があるべきで、それがシティマラソンの醍醐味だって。
むしろ晴海スタートで、都庁ゴールなら、そのまま歌舞伎町に繰り出せるし、未来への提言としては都市マラソンはスタートとゴールと逆にしろ、と。
「日本ってTシャツ先に渡すじゃないですか。」「Tシャツに愛着がもてないのはここだわ。ゴールした直後にもらえれば、それを着たまま帰るし、頑張ったからもらえたって思える。同じTシャツを着ているだけで生まれる連帯感。Tシャツがタンスの肥やしになる問題の本質は渡されるタイミング。」
速いことがえらいわけじゃない。それよりも長く走り続けられることのほうがえらいんだ、という価値観がランのスタンダードになっていく。
▲ここまで
Tシャツの話ですが、海外マラソンレースはわかりませんが、海外トレイルレースに多数出場してきた私の経験談からいえば、Tシャツは先に手渡されることが多いです。大会によっては、フィニッシャーズTシャツとして、完走者にだけ別に、新たにTシャツを手渡される大会もあります。
驚いたのには、すぐその場で着用したり、早速レースでもらったTシャツを着用して走ったりするランナーも数多く見受けられることです。そこにはTシャツを着ただけで生まれる連帯感を感じたいという気持ちだけでなく、自分のエントリーしたレースへの誇りや愛着感もあるのではと思います。
マラソンはブームではなく、すっかり定着し、今後のランがどのような方向へと向かうのか、多方面から考える材料として、実に興味深い一冊です。
今号もぜひ、読んでみてください。
【『BORN TO RUN』の先に見える世界】
NUMBER DO PLUS vol.20(ナンバードゥ・プラス)

管理人:安藤大(あんどう ひろし)大阪府出身。プロ・ランニングコーチ。2012年から「はじめてのトレイルラン教室」を開講、21都道府県で1万人以上が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓発活動に注力し、グループで走る楽しさを伝えている。
15年で参加をした大会は「28か国、28都道府県」で100を超え、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現中。
2024年10月に『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。Amazon2部門1位&ベストセラーに。