【常識を覆す、異色のダイエット本!】 『やせたければ脂肪をたくさんとりなさい』ジョン・ブリファ・著 Vol.087
「入れるカロリーが出すカロリーを上回らないように」選手にはなるべく夜20時以降に食事をしないようアドバイスしてきましたが、本書を読んでダイエットはそう単純なものではないと思いあらためました。
本日ご紹介する一冊は、書店のスポーツ書コーナーでひと際タイトルが目立つ、 異色のダイエット本『やせたければ脂肪をたくさんとりなさい』。
英国ベストセラーとなった「低炭水化物食」を基本とするダイエット本です。
研究結果を元に論じており、すべての目次の中身が気になって気になって仕方がありません。
本気でダイエットする気持ちがあるかどうかはともかくとして、どんな食事や食習慣が悪影響をもたらすのか、栄養学や健康管理について知ることは重要です。
「理論的な説明はどうでもいいから、痩せる方法を手っ取り早く知りたい」という読者は、各章の最後に「結論」だけ目を通せばわかるようになっています。
たとえば、衝撃な話はマラソンブームでランニングを始める人が増えていますが、「健康のために」始めることは正解でも「ダイエットのために」始める人の多くは間違いで、「運動はダイエット(減量)に効果はない」その理由が解説されています。
研究では、「運動しなくなってから太り始めたのではなく、太り始めてから運動しなくなった」という身体活動と肥満の記述もショックでしょう。
長距離レースではレース当日のカフェインの効きをよくするために「カフェイン断ち」を行うランナーがいますが、本書の指摘によれば急なカフェイン断ちは頭痛を引き起こす可能性があり、段階的にカフェインを抜いていくことが重要だと言えます。
著者は「アンチ運動派ではない」と巻末には効果的なトレーニングも紹介しています。
早速、本書の中身を見てみましょう。
▼ここから
穀物は栄養が低く、栄養源ではなく、食べ物として意味がない。
デンプン炭水化物の多くは厳密には食物かもしれないが、実は飼料と表現したほうがいい。
人工甘味料はほぼノーカロリーなので、しばしば砂糖の「ヘルシーな」代用品として、とくにダイエットをしている人たちに勧められます。アスパルテームは、頭痛、うつなど、さまざまな健康への悪影響とも関連づけられています。
ツナ缶は一般的ですが、魚にもともと含まれているオメガ3脂肪の多くが、缶詰工程の前に取り除かれます。サケ缶、サバ缶、イワシ缶のほうが、オメガ3脂肪に富んでいて水銀汚染されている傾向が少ないのでお勧めです。
カフェインを突然やめると、頭痛を起こす可能性があります。頭痛はふつうカフェインを断った日に起こり、その2日ほどで消えます。
効果的に体脂肪を落とすことが目標なら、アルコールはできるだけ飲まず、飲むときには夕食とともに赤ワインをグラス一杯に制限しましょう。
アルコール摂取量が多いと腹部肥満のリスクが高いことを示す研究もたくさんあります。一定量のアルコールで考えると、ビールはワインよりもはるかに多くの炭水化物を含んでいます(「ビール腹」と言われるのには理由があるのです)
証拠を慎重に検討すると、ワインを飲む人たちはビールや蒸留酒をよく飲む人と比べて、たとえばヘルシーな食事をとり、たばこを吸わない傾向にあることがわかります。
赤ワインと蒸留酒のほうが、白ワインやビールより炭水化物が少ないので好ましい。
食事の時間が遅すぎることについて心配する人もいます。真の問題は遅い時間に食べることではなく、”遅い時間に食べすぎること”です。
果物は食欲をきちんと満足させないことが多いのです(糖分も非常に多く、一部の人にとって理想的ではありません)
運動を1時間続けたあと、24時間にわたる脂肪代謝は、基本的に運動をまったくしなかった時と同じなのです。
もうひとつ有酸素運動による減量を邪魔するものは、運動が招きかねない空腹感です。運動のあとに、自分へのごほうびと称して食べる人もいます(心当りがあるのでは?)
運動が原料に効果がないもうひとつの理由は、人は運動量を増やすと、自然にそれ以外の生活で運動しないようになる傾向があることと関係しています。
運動しても体重が減らないことの説明として、運動が筋肉をつくり、それが脂肪減少によって減った体重を相殺してしまう。しかし、そのような運動に用いられる有酸素運動で、たくさんの筋肉がつくことはありません。したがって、有酸素運動は体脂肪を落とすのに効果がない、というのが論理的結論になります。
運動をやりやすく小分けにしても、長時間の運動と基本的に同じ効果が上がることは立証されているのです。
一般的に、歩数計を使うと歩く量が1.25倍以上になるようです。
最も効果が上がったのは、高タンパク質をとり、抵抗運動を行った人たちで、平均で脂肪が11.1キロ減り、胴囲が13.7センチ縮みました。それに比べて、低タンパク質食をとって運動をしなかった人たちは、平均で脂肪減少は6.4キロ、胴囲の縮小は8.2センチでした。
人が体重を落とすとき、脂肪が落ちるだけでなく筋肉も失われる危険がつねにあります。抵抗運動はこのリスクを軽減することがわかっています。
持久系のスポーツをする人はあまり運動しない人と比べて、炭水化物の多い食物が有益あもしれないことは、私も疑っていません。問題は、マラソン選手のような食事をしながら、ほとんどの時間を座って過ごしている人が大勢いることなのです。
▲ここまで
カロリー計算は必要なし、タンパク質制限なし、きつい運動なし、お腹がすくこともなし
糖質制限や人間栄養学や健康管理に興味がある人には一読の価値があります。
【常識を覆す、異色のダイエット本!】 『やせたければ脂肪をたくさんとりなさい』ジョン・ブリファ・著 Vol.087

管理人:安藤大(あんどう ひろし)大阪府出身。プロ・ランニングコーチ。2012年から「はじめてのトレイルラン教室」を開講、21都道府県で1万人以上が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓発活動に注力し、グループで走る楽しさを伝えている。
15年で参加をした大会は「28か国、28都道府県」で100を超え、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現中。
2024年10月に『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。Amazon2部門1位&ベストセラーに。