【マラソンの練習メニューノウハウが詰まった一冊】
『限界突破マラソン練習帳』岩本能史・著 Vol.105
本日の一冊は、「サブ4」「サブ3.5」「サブ315」「サブ3」を目標とされている方に、10週間のマラソン練習メニューを紹介した一冊。
著者はランニングチーム「club MY☆STAR」代表でバッドウォーター・ウルトラマラソン(217km)4回完走(最高5位)、スパルタスロン(246km)7回完走(最高6位)など主に100km以上のウルトラマラソン分野で活躍し、数多くのマラソン本もリリースしている岩本能史氏。
本の中から、アドバイスの一つをピックアップしてみましょう。
「運動時に塩を固形で摂るのはマイナス。胃の粘膜を荒らしてしまうのです。」
マラソン大会では給水所に塩が置かれていることがよくあります。皆さまが日ごろ摂取される給水所のスポーツドリンクやジェルの多くには少なからずナトリウムが含まれており、正しく補給されている方であれば暑熱環境下でない限りそれでこと足りると僕は考えています。「給水所に設置されているもの=すべてランナーに良いもの」とする考えは要注意だと思います。たとえば、大阪マラソンでは過去に油物ののコロッケやたこ焼きが提供されたこともあるそうですから。。
本書で紹介されている「2時間歩行」はトレイルランニングの練習にも有効です。72歳で100マイル、100キロ、50マイルを含む9本のレースを今年の7月までに完走した女性ランナー、ガンヒルド・スワンソン/Gunhild Swansonさんはこんなアドバイスをしています。
「年齢を重ねてもレースを完走するためには早く歩き、早く山登りができる能力が必要なの」
「走力、走り方、筋肉の質、ラン歴といったバックグラウンドが異なるランナーに目標タイム別に同じメニューを提供しても、思ったような成果は望めないと思っていた」著者がその考えをあらためて本書の執筆に至った理由とは?
自らのランナーとしての長年の経験、過去には大きなランニングクラブチームを抱え、現在もネットを介して数百人のランナーを定点観測しているいう著者の解説には説得力がある一冊に仕上がっています。
「マラソンやトレイルランの練習メニューを作成して欲しい」
僕自身もよく依頼を受けるのですが「練習メニューの組み立てこそ練習の面白さ」という考えのままでして、マラソンの練習メニューノウハウを学びたい方はぜひチェックしてみてください。
▼本書より
僕の持論は「レースはトレース」。マラソンにはまぐれもホールインワンもありません。奇跡も根性も不要であり、レースのスタートラインに立った時点で99%が終わっています。
走るときは衝撃を緩和して関節を守り、カラダの沈み込みを防ぐために、反射的に大腿の大腿四頭筋などの着地筋が収縮しています。けれど、歩くときには事前収縮は起こらず、着地筋はゆっくり弱く収縮するだけ。
「トレッドミルはベルトが勝手に回転しているだけだから、外でのランニングに動きを近づけるなら、傾斜をつけないとダメだ」という説もありますが、僕に言わせるとそれは大間違い。ベルトが勝手に回っているだけなので、逆に地面を蹴らないラン反射を活かした正しい走りが身につくのです。
運動時に塩を固形で摂るのはマイナス。胃の粘膜を荒らしてしまうのです。
大多数のランナーにとってトラック練習より、マイナス面の方が大きい。
カーボローディングは行わない。前日に大量の糖質を摂ってしまうと、糖質を浪費するようにスイッチが切り替える恐れがあるのです。糖質はレース前とレース中に補給するのが正解です。
立ちっぱなし、歩きっぱなしを避ける。前日にエキスポなどで長時間立ったり、歩いたりを繰り返しているとレース前から足腰が疲れてしまいます。
ペーサーについていかない。ペーサーは目標タイムのレースペースで走っているとは限らないのです。多くのペーサーは職業柄前半に貯金を作っておいて、絶対確実に設定タイム通りにゴールしたいというプロ意識が強いもの。
【マラソンの練習メニューノウハウが詰まった一冊】
『限界突破マラソン練習帳』岩本能史・著 Vol.105
管理人:トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。大阪府生まれ。日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ。大阪府出身。2012年に起業、実践と科学的知見に基づいた指導は「具体的でわかりやすい」と初心者の指導に定評がある。歯に衣を着せぬストレートな物言いが評判。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。