トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
ロードのマラソンよりも階段や起伏のあるトレイルランニングでは起こりやすい、代表的なものが「肉離れ」。
肉離れとは、筋膜や筋線維に部分損傷が生じることをいいます。ふくらはぎがつることを「こむら返り(筋肉が収縮してロックしてしまった状態)」といいます。
代表的な場面としては、トレイルの下りでの大腿四頭筋の大腿直筋、下りから平地に入った加速段階でのハムストリングス、スイッチバックの林道を切り返す際の腓腹筋の内側頭など。
僕の体験談ですが、2014年1月のVibram HongKong 100kmでのこと。国内にはない固い岩盤の地面、急な上り下り階段の連続。香港は、日中はTシャツ一枚でも走れるほど暖かく、夜になると一気に気温が下がります。ランニング人生ではじめて、両足こむら返りを経験しました。 この直前にトイレで血尿が見られ、これは予想ですが肝臓へのダメージも影響していたのかもしれません。心の中で、僕は「トレーニング不足だなあ。情けない。」と苦笑いしていました。
トレイルランの大会では温かい気候で、急に雨が降って気温が下がった場合などには、肉離れが生じやすい傾向にあるようです。
肉離れの原因の多くは、オーバーユース、柔軟性・トレーニング不足。日ごろ地面を強く蹴りこみがちなフォームのランナーの方にも多く見受けられます。肉離れが癖づいているような方は、フォーム修正も必要になります。肉離れやこむら返りを起こしてしまった方は、たまたまではなく、元々肉離れを起こす原因のあったということです。
完治には軽傷で1、2週間、重度の場合数か月長引くこともあります。実際にあった話ですが、ラン仲間と六甲全山縦走中に行程の半分で肉離れをお越し、その後も無理をして最後まで縦走し、1年間にわたってランニングができなくなったランナーの方もいます。
肉離れが生じたときには、温かい温泉に浸かるのは逆効果です。アイシングが適切です。(昨今のスポーツの常識検証からすると、この処置法も何年後には変わっているかもしれません。)よく「肉離れ」と「こむら返り」を一緒にし、どちらもアイシングされる方がいますが、こむら返りの場合はアイシングではなく、温めます。冷やす場合、近くに川などがあれば取り急ぎの処置はできますが、「温める」というのは山ではなかなか難しく感じています。
よって水風呂のある温泉は、最高!!

管理人:安藤大(あんどう ひろし)大阪府出身。プロ・ランニングコーチ。2012年から「はじめてのトレイルラン教室」を開講、21都道府県で1万人以上が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓発活動に注力し、グループで走る楽しさを伝えている。
15年で参加をした大会は「28か国、28都道府県」で100を超え、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現中。
2024年10月に『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。Amazon2部門1位&ベストセラーに。