【170kmの過酷な山道を笑顔で走る理由】
『トレイルランナーヤマケンは笑う』山本健一・著
トレイルランニングをはじめた人が、トレーニングを続け、距離を少しづつ伸ばしていけば、やがては辿り着くのかもしれません。100マイルトレイルランニングレースに。
多くの人は、ついアマチュアの段階からいきなり世界戦のリングに上がろうとしてしまいがちです。長期的なケガや故障を抱えることも少なくありません。大きなことを成し遂げるためには、段階を踏むことが不可欠です。それが結果的にケガや故障を少なくすることにも繋がります。
国内でもお馴染みのフランスのセバスチャン・セニョー選手(The North Face)も、ウルトラランニングのアドバイスとして、「ウルトラトレイルを完走するための身体は1年、2年で作られるものじゃない。3年、4年かけて作られていくものだ。」と話しています。
本日ご紹介する一冊は、ウルトラトレイルランレース入賞実績多数の“ヤマケン”こと山本健一さんの自己啓発本。
いわゆる「名言本」や「自身の体験を面白、おかしく綴った本」ではなく、山本健一さんの素顔や山に対する思いに触れることで、読者ランナー自身ももっと山が好きになってしまう一冊です。
トレイルランナー鏑木毅さんが“過酷なレースに挑戦するストイックな姿”を見せるのであれば、山本健一さんは“過酷なレースを楽しむ姿”を見せると周りのランナーに与える印象は対照的で、面白く感じます。
本書では、山本健一さんの山にハマりはじめたきっかけから、ハセツネCUPデビュー、高校教師としての様子などが垣間見える内容となっています。山本健一さんがアドバイスをしてくれる人々に恵まれ、そしてそのアドバイスを素直に受け入れる素養があったことがわかります。
トレイルランナー山本健一さんファンの方、フェイスブックフォロワーの方ならば、これは応援買いの一冊です。
『トレイルランナーヤマケンは笑う』山本健一・著
◆本書より
走ることの楽しさを伝えるためにも、手を抜いて生徒と一緒に走るなんてあり得ない。僕が自分のために走る姿を見て、生徒もまた自分のために走る。
山では、自分の行動には100パーセント責任を負わなければいけない。たとえ仲間と一緒に登っていても、責任は自分にある。
非常時のために、先生たちのほうがトレーニングをしなければいけないくらい、顧問の責任は重い。
“決めること”ができたなら、すべてを費やして目標に向かって進めばいい。
今、自分に起きていることは、すべて必要なこと
勝つことは、とてもわかりやすく、周囲の人へ「自分がどういう人間か」についての説明を省いてくれる。
一度勝つことができてからは、さらにレースに対する欲がよりいっそうなくなった。
「やめる」と自分で決めることさえできれば、やめること自体に苦痛はない。信じ込む力が人よりも強いのかもしれない。
トレイルランニングは、本当に旅のようなものだ。経験も言語も超越してしまう。あるいは、大人の遠方か。
苦しくても、キレイな景色を見ても、心が動いたら、とにかく叫ぶこと。
管理人:トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。大阪府生まれ。日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ。大阪府出身。2012年に起業、実践と科学的知見に基づいた指導は「具体的でわかりやすい」と初心者の指導に定評がある。歯に衣を着せぬストレートな物言いが評判。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。