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『ピーキングのためのテーパリング』河森直紀・著 Vol.143

投稿日:2018年3月21日 更新日:

【知らないと損をする!テーパリングとピーキングの違いとは?】
『ピーキングのためのテーパリング』河森直紀・著 Vol.143
 
 
大事なレースの前に疲労を溜めこんだり、故障をしたり、あるいは練習不足により体力を低下させてしまったり、「本当はもっと走れたはずなのに」と調整不足に泣く選手をこれまで多く見てきました。
 
目標マラソンレースにおいて自分の力を最大限発揮するためには、ランニング練習だけでは不十分、コンディション調整(テーパリング)が重要となります。
 
「目標マラソンレースに向けて、練習・トレーニングの量を減らしていけば、疲労も軽減されるはずだから、疲れがたまっていない状態でレースに臨める。」その程度の理解では不十分です。
 
本日ご紹介する一冊は、『ピーキングのためのテーパリング』。著者はアスリートに対して指導を行うストレングス&コンディショニングコーチの河森直紀氏。
 
それまでテーパリングとピーキングについて書かれた本は、洋書の『Tapering and Peaking for Optimal Performance』Mujika Itigo・著 ぐらいでした(幸いなことに、この本は2017年に『テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために』という表題で邦訳化・出版されています)。
 
本書の中で、「最適なテーパリング戦略によって期待できるパフォーマンス向上効果は、平均で3%(一般的な範囲としては0.5~6.0%)」とあります。「万全な状態で臨んでたった3%の向上?」と思われるかもしれませんが、フルマラソンでどのぐらいの記録短縮になるか計算してみました。
 
4時間30分→4時間22分
4時間15分→4時間8分
4時間00分→3時間53分
 
最近話題の人気ランニングシューズ「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」が4%、コンディション調整によって3%の向上が見込める(かもしれない)ことは大きな差となります。コンディション調整の良し悪しによって、マラソン目標を達成するか、未達に終わるかの明暗を分ける可能性があるということです。
 
・テーパリングとは何か?
・目標レースに向けて体力的なコンディションのピークをどのように持っていくか?
・レース前の緊張をどのようにコントロールしていくか?
・なぜテーパリングをするとピーキングにつながるのか
・テーパリングが失敗するシナリオ
 
以下のサイトでは、男子マラソンの現世界記録保持者のエリウド・キプチョゲが、2017年8月10日から9月20日まで40日間のトレーニングメニューが公開されています。ほぼ毎日休むことなくトレーニングしています。
 
 
これを一般市民ランナーがそのまま真似をしようという話ではなく、「重要なマラソンレースの前に、疲労を抜きさえすれば、最高の状態で試合に臨めるという単純な話ではない。 」ことがわかります。
 
最近では、「重要なレースに向けては練習量や質は落とさない」ことが主流となりつつあるようです。
 
早速、本書の中身をチェックしてみましょう。
 
▼ここから
試合直前の時期に練習やトレーニングの負荷を減らしていく。こうした戦略を「テーパリング」と呼びます。
 
「テーパリング」と「ピーキング」はまったく別の概念。
 
「ピーキング」とは、「狙った重要な試合にベストのコンディションで臨めるように、コンディションを上げていき、そのピークを合わせること」。
 
「ピーキング」は目的を示している言葉で、「テーパリング」は手段を示している言葉である。
 
「ピーキング」という目的を達成するための手段の1つが「テーパリング」。
 
最適なテーパリング戦略によって期待できるパフォーマンス向上効果は、平均で3%(一般的な範囲としては0.5~6.0%)。
 
ピーキングに失敗したアスリートやそのコーチは、「超回復理論」に基づいてテーパリング計画を立てていると思われるケースが多い。
 
重要な試合前に疲労を抜きさえすれば、最高のコンディションで試合に臨めるという単純なことではない。
 
テーパリングの究極の目標は、狙った試合に向けてpreparednessをできるだけ高めてそのピークを合わせること。
 
テーパリング期間中に練習・トレーニングの負荷を徐々に減らしていくと、フィットネスも疲労もどちらも低下しますが、疲労の低下速度のほうが速い。
 
練習・トレーニングの負荷を増やしはじめた直後は、むしろマイナスの出力である疲労の変化量のほうがプラスの出力であるフィットネス変化量を上まわることになり、その結果としてプラスマイナスの合計であるpreparednessがさらに低下してしまう可能性が高い。
 
▲ここまで
 
ランニング練習の成果をレースで最大限発揮するためには、コンディション調整についてよく学んでおく必要があります。
 
「テーパリング」と「ピーキング」の違いについてよく理解し、トレーニングすることで、短期間で3%ものパフォーマンス向上を得られるのであれば、一読する価値があります。
 
ぜひチェックし、最高の状態でレースに臨んでください。
 
【知らないと損をする!テーパリングとピーキングの違いとは?】
『ピーキングのためのテーパリング』河森直紀・著 Vol.143
 
目次
第1章 テーパリングとは何か 
テーパリングの定義
ピーキングの定義
テーパリング vs. ピーキング:意味の違い
適切なテーパリングがもたらすパフォーマンス向上効果の大きさ
そもそもテーパリングは必要か
 
第2章 テーパリングのメカニズム
なぜテーパリングをするとピーキングにつながるのか
「フィットネス−疲労理論」とはどのような理論か
超回復理論 vs. フィットネス−疲労理論
テーパリングがピーキングにつながるメカニズム
テーパリングに入る前の時期(pre−taper period)の重要性
テーパリングが失敗しうるシナリオ
フィットネス−疲労理論2.0
トレーニング歴の影響
個人差の影響
 
第3章 テーパリングの実際
科学的知見に基づくテーパリングのガイドライン
科学的知見に基づくテーパリングのガイドラインが当てはまらないシナリオ
戦略的な「pre−taper overload training」の利用
テーパリングを実施する頻度
競技コーチとトレーニング指導者との連携の重要性
テーパリング以外のピーキング手法とうまく組み合わせる







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“キャプテン”安藤大(あんどう ひろし)
トレイルランナーズ大阪代表
米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ
ランニング歴24年以上
トレイルランニング歴14年以上
コーチ指導歴11年以上

大阪府生まれ。2012年にランニングコーチとして起業し、コーチ指導歴は11年以上で全国の500人以上のランナーを個別指導。説明は「わかりやすい」と学生からシニアまで初心者の指導に定評がある。自身も現役のランナーで実践的な指導は具体的。

ランニング歴は24年を超え、世界一周ランを目標に北極マラソンや氷上マラソン、マチュピチュマラソンなど28か国のレースに参加。

2012年3月に『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、10年間でのべ1万人以上のランナーが集まる人気に。全国で山でのマナーや歩き方、走り方の啓蒙活動を行っている。ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回る「夢」を実現し、「グループで走る楽しさ」の魅力を伝え続けている。

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