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『ランニング登山~もうひとつの山登りの刺激的世界』下嶋溪・著、松本大(執筆協力) Vol.156

投稿日:2018-09-06 更新日:

【絶版新書が再び絶版になる前に!山岳ランニングのバイブル】
『ランニング登山~もうひとつの山登りの刺激的世界』下嶋溪・著、松本大(執筆協力) Vol.156
今から30年以上前、1986年に発行された『ランニング登山』本を、「山岳ランニングのバイブル」と呼ぶスカイランナーの松本大氏が加筆し復刊したものです。
 
序文でいきなり、<今まで出会った人たちは2種類の人間に分けられる。ひとつや山好きな人間であり、もうひとつはモノ好きな人間だ。私は前者の人間が好きであり、後者の人間はあまり好かないー松本大>とやや厳しめの言葉で始まる、その内容もほかの類書とは一線を画すかなり尖った本です(これからトレイルランを始める多くの人が後者の人だと思いますが)。
 
まずは”かたち”から入る。「シューズやリュックを揃えたら、さあ、トレイルランレースに参加!」「自宅にはたくさんのシューズやリュックが転がっている」という人には、この本の面白さはわからないかもしれません。
 
「トレイルランのレース参加に興味がありますが、シューズは必要ですか?どんなシューズがおすすめですか?」に親切に教えてくれるノウハウ本ではなく、自分の頭で考えようという本です。
 
人を選ぶ本です。どちらかと言えば、日ごろから登山に親しまれている、本当の山好きにおすすめできます。
 
最近はトレイルランニングの認知度が高まってきた今でさえ、「山を走っています」と話すと変わり者、超人扱いされる中で、著者の家族や周囲の人に説明する苦労は計り知れなかったと想像できます。
 
山道の走り方から練習方法、行動計画の立て方、食料や消費エネルギー、トレーニングにおける最大酸素摂取量にまで言及されており、とても30年前に書かれた本とは思えない、知見に富んだ内容です。
 
個人的には、30年前に山を走るフォームについてまで考えていたことが驚きです。
 
山での食料計画について著者は、<各自が試行錯誤で自分の食料の限界値を見出し、それは当日の体調、対症となるフィールドの困難度、季節等のファクターを考慮して適当な安全率をかければよい>と話していますが、自身は<所要時間が5時間ぐらいまでの山岳レースでは空身なので食料は一切なし><5~6時間ならば空身で、摂取は天然の水だけ>と答えており、水や食料の少なさに驚きます。
 
トレイルランニング、スカイランニングというスポーツの用語・概念についてあらためて考えさせられました。
 
本書の中で、<快適な登山を追及していた結果としてランニングのスタイルを入れている登山者も少なからずいるはずー松本大>とありますが、実際に私が年間で100日以上山に行って、ここ2、3年で急速にハイカットブーツを履く登山者は減り、軽量のトレイルランのシューズを履く人が増え、下りでは走る登山者もよく目にするようになりました。「ランナーだから」走るという考えではなく、松本大さんの言うとおり「快適性を追求した結果」走るということなのでしょう。
 
人づてに聞いた話によると「あまりたくさん本を刷っていない」そうですので、絶版になる前に早めにゲットしておいてください。
 
本書の中で、松本大さんが「ランニング登山史について述べた新書」をにおわせる話もでてき、楽しみです。
 
▼本書より
モノ好きな人間が真に山好きな人間になるきっかけになってほしい。(松本大)
 
「ランニング登山」は世界標準の言葉に直せば、「スカイランニング」という用語・概念に集約されるのが正しい。(松本大)
 
トレイルランニングは名前の通りトレイル(小道)を走るスポーツであり、走れる未舗装路であれば起伏のある山地に限らないスポーツである。しかし、定義も曖昧なまま「山を走る」という言葉ばかりが多用されてきた。(松本大)
 
山登りに定義はない(下嶋溪)
 
不安定な地形ではバランスをとるために上半身の筋肉も使うし、上りではももの引き上げ筋とアキレス腱を、下りでは大腿四頭筋を多用するが、この大腿筋などは平地走ではほとんど使われない筋で、ランナーが山から降りたあとで最も筋肉痛に悩まされる個所である。(下嶋溪)
 
一般に登山のためのトレーニングにはランニングがよいとされているが、逆は必ずしも真ではない。(下嶋溪)
 
快適な登山を追及していた結果としてランニングのスタイルを入れている登山者も少なからずいるはず(松本大)
 
大正時代に興った「登山競争」文化は太平洋戦争中の混乱で一時期耐えるものの、戦後まもなく復活して日本各地で再び花開いた。代表的なものは1948年に始まった山梨県富士吉田市の富士登山競争であり、動機としては戦災で荒廃した日本を元気づけようと始まったという。高度経済成長に伴う生活スタイルの変化と地域社会の弱体化により一度は登山競争文化の衰退が見られる。(松本大)
 
山を走る場合にも、平地走のトレーニングを目的としたクロスカントリーと比較的短時間の山岳レース、そして丸一日以上におよぶ縦走とでは自ら走法が変わってくるはず。(下嶋溪)
 
【絶版新書が再び絶版になる前に!山岳ランニングのバイブル】
『ランニング登山~もうひとつの山登りの刺激的世界』下嶋溪・著、松本大(執筆協力) Vol.156







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安藤大(HIROSHI ANDO):マラソン・トレイルランニングコーチ。大阪府生まれ。身長183cm、体脂肪率8%。「膝痛の撲滅、けがの軽減に貢献したい」という思いから、初心者から経験者までランナーを800時間、400人以上を個別指導。初マラソン完走者や自己記録更新者を数多く排出。

ランニング歴は20年を超え、英語を話し、トレイルレース戦績は28か国・33か所で45戦。メディア取材歴も多数、2012年より関西でロングラン開催中の『はじめてのトレイルラン』ツアーは人気で5,000人以上が参加。夢はランニングを通じて国内・世界中を飛び回ることと一緒に走ることの楽しさを伝えていくこと。

SAQレベル1インストラクター|山岳共済会会員|日本赤十字救急法救急員|上級救命講習取得|応急手当普及員|国際的野外・災害救急法(WFA)|水上安全救急法(Water Rescue for the First Responder )

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