【4週間で『陸王』で話題となったミッドフットランメソッドを身につける!】
『最速で身につく最新ミッドフットランメソッド』高岡尚司、金城みどり・共著 Vol.157
これまでに国内外のランニング本やトレーニング本を読んできましたが、結論から言えば、書かれていることは似たり寄ったりです。ランニングというスポーツはシンプルな動作の連続ですから、考え方に大きな違いは生じにくいです。
それなのになぜ読むかというと、人によって説明の仕方が異なること、そしてそこから選べる気づきによって、また新しいフォーム見直しの向上意識が芽生えてくるからです。
今の自分に必要なことは、常にフォーム向上心を持つこと、そして次のレースへのモチベーションを得ることです。
本日ご紹介する一冊、『最速で身につく最新ミッドフットランメソッド』。
本書は、話題となったドラマ『陸王』で注目された、足裏全体で着地する走法「ミッドフットランメソッド」について解説。
わずか89ページの薄い本ですが、その中に専門家の「知見」が、オールカラー写真付きでまとめられ、単純化しわかりやすい内容になっています。
今作は共著ですが、「金城さんは足元から、私は胴体からアプローチする」アプローチの違う2人が考え方を一つにまとめたのは、高岡氏の前作『ゼロベースランニング』で「全身の動きとしての連動性に欠けてしまっている」という読者評価を踏まえての改善かもしれません(私の個人的な憶測ですが)。
参考:『ゼロベースランニング 走りの常識を変える!』高岡尚司・著
著者は、ケガにつながりやすい走り方に3つを挙げていますが、
1かかと着地で膝を痛める
2つま先着地で足首を痛める
3力いっぱい腕を振り肩が凝る
ここで一番難しいのは、1の<かかと着地で膝を痛める>部分だと思いますが(クッション性のあるシューズに履き慣れた人にはかかとで着地をしている、ブレーキをかけているという意識の薄いランナーが大勢のため)、本書では、これに関してもメソッドを紹介しています。
「裸足ランニング(裸足トレーニングメソッド)」とはうたわれていませんが、本書で紹介されているメソッドの多くは”裸足”です。紹介したときのわかりやすさ、足裏感覚を磨く上では裸足が適しているとの考え方もあるのでしょう。
序章がまず<重心>と<姿勢>の重要性から書かれていることには、好感が持てました。
現代人のランニングフォームを本当に改善するためには、ランニング動作を説明する前に、歩き方から日ごろの猫背姿勢から、偏平足から少しづつ改善していく必要があると個人的には考えています。
著者の本ではたびたび<台形>という言葉が登場しますが、この真意を理解するのには時間がかかるでしょう。
正直、内容は『ゼロベースランニング』で述べられていることとかなり重複し、著者の処女作をお読みの方には特に目新しい点はないかもしれません。しかし、前作より読みやすくわかりやすく、頭の中を整理するきっかけとなるはずです。
フォームの見直しを始めるのは故障してからではなく、故障をしていない“今”です。
走りの技術を高めるために、ぜひ読んでおきたい本です。
▼本書より
ケガに悩むランナーの多くが、股関節の内旋、骨盤の後傾といった、体のねじれからくる不安定な姿勢で走っています。
速く走るためにはつま先で強く地面を蹴らなければならないと思っている人、腕をぶんぶんと大きく振ったほうが推進力が生まれると勘違いしている人など、間違った知識で走っている人も少なくありません。
背中が丸まった猫背の姿勢は、胴体の前側の筋肉が硬まることが原因のひとつ。
腹筋をほぐすだけでアキレス腱の痛みが改善する方も多くいらっしゃいます。
踵に重心を移動させて、胴体を前に傾けると、体の重心が前にズレてバランスが崩れます。すると、転ばないように自然に脚が前に出ます。
▲ここまで
本書と合わせて、以下の書籍を一読されるとより知見が深まると思います。92%が4つ星以上評価の「ベアフットランニングのバイブル」本です。
参考:『ベアフット ランニング ステップ バイ ステップ』ケン ボブサクストン (著), 吉野剛 (監修, 翻訳)
管理人:トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。大阪府生まれ。日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ。大阪府出身。2012年に起業、実践と科学的知見に基づいた指導は「具体的でわかりやすい」と初心者の指導に定評がある。歯に衣を着せぬストレートな物言いが評判。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。