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『できない理由は、その頑張りと努力にあった』甲野善紀・著 Vol.074

投稿日:2016年3月9日 更新日:

【努力が報われない理由とは?】
『できない理由は、その頑張りと努力にあった』甲野善紀・著 Vol.074

『できない理由は、その頑張りと努力にあった』甲野善紀・著

本日の一冊は、最近読んだ中でもっとも身体の「動き」を理解する上で役立った本です。

著者の甲野善紀さんは1949年生まれ。「人間にとっての自然体とは何か」を自らの身体を使って研究を重ね、今や武術研究の成果を野球や介護、楽器演奏といった分野にまで応用し、野球の桑田真澄さんや卓球の平野早矢香さんなど各界のスポーツ選手からも実技指導を評価され、メールマガジンやツイッターなどで広く、技の伸展状況や考え方を伝えることに邁進され「武術研究家」という職業を確立された方です。

本書では、対談形式で武術の稽古を通して得た「発想の転換」がテーマで書き進められたものですが、巻末で甲野さんが語る通り、読み進めていくうちに技の進展が進み、武術の解説書になっており最後まで面白く読み進めることができました。

「「努力」とはそもそも何か?」といった問いへの甲野さんの回答は興味深いです。

甲野さんが「呼吸法に関しては、今のところは私は一切行っていません」という事実に驚きましたが、その理由を聞いて納得しました。

本書の中で、「量を数多くやれば、自然と質が変わるという考え方もあるようですが、私はこの考え方には、疑問があります。 」という甲野さんの考え方には同意します。ランニングでも単純に練習量を重ねるほど成果が出るのであれば、市民ランナーの多くがマラソン3時間半、3時間以内とタイムは短縮されていくはずです。けれども実際にはマラソン3時間以内ランナーは、全体の5%しかいません。なぜなのか?そのヒントを本書では見つけることができます。

どんな心構えが学べるか、早速見ていきたいと思います。

▼本書より

ただひたすら、同じ形を何回も繰り返す反復稽古では、動きの質的転換ができないと思います。中には、量的質転化という、量を数多くやれば、自然と質が変わるという考え方もあるようですが、私はこの考え方には、疑問があります。その理由を体育関係の方々にも、あらためて深く考えていただきたい。

稽古すべき急所も分からず、ただ繰り返しても無駄な努力になるということですね。

違和感は、まだ出来ていないとい事を教えてくれる教師のようなもの。

武道を必修科目にするというのは、生徒達に武道を押し付けていることになるので、全く賛成出来ませんね。押しつけられて、武の世界に対して嫌気がさしたり、ウンザリされたら、逆効果ですから。

私はまず、私自身が学び成長することを最優先に考えて、私の武術を学びたいという人達と接しています。ですから、教えるというより、その学びに来た人とプロジェクト研究をするつもりになって、仲間、同志として一緒に研究に巻き込んでいくのです。

段位や役職などを作ると、どうしても見栄や上下関係の縛りが出てくる恐れがあり、純粋な技の研究の焦点がぼやけてきてしまうのです。

私の講習会の常連の人で私にとっても得難い共同研究者となっている人でも、初めて来た人であっても、センスの良い質問をする人であれば、私の接し方はほとんど変わらないと思います。

本人が「どうかな、ああかな」と興味を持たないと「学び」は大して力を持ちませんから。その時を「待つ」ことも大切です。

「執着するような願い方は、かえって逆効果になるので、成就することが当然であるように、願い事は「何々になりたい」とか、「何々が欲しい」ではなく、「何々になる」、あるいは「何々が手に入った」というような、すでにそのことが成就した形で願うことが効果的。」

技は「出来ねば無意味」。その言葉は、例え強引な力技であろうと、そうした技を使う相手に対応できなければ、その事実を率直に受け止め、逃げ口上は決してするまいという自戒のために打ち出したものです。

非常時の力そのものとは異質で、しかも平静な精神状態でありながら、反復稽古を繰り返した、いわば「慣れ」で出来る以上のことを発揮するところに、武術の武術たる由縁があるのだと思います。

スポーツ等でも「無欲の勝利」などと言われますが、結果を気にしないことが大事ですよね。相手を「倒してやろう」などと意識的に「こうしてやろう」とすると、どうしても腕や肩などの一部分だけの力に頼ってしまいがちです。

呼吸を意識してしまうと、どうしてもその時点で、通常とは違う呼吸になってしまうのです。

武術研究を自分の仕事にして以来、技が変化し続けており、そのため、およそ「正しい基本」などという言葉が口から出なくなっている。

世の中に広まっている有名な武道やスポーツのなかで「正しい基本」と言われている、その「正しい」と言われているもの自体、あらためて検討してみると、その「正しさ」に疑念を持たざるを得ないものが少なくないように思う。

▲ここまで

以前、甲野さんの『今までにない職業をつくる』を読んだときに、 新しいことを実現させるにあたっては「対価と共に信頼も得られるが、誹謗・中傷も受ける」という一説を最近痛感することがあります。甲野善紀さんが「武術研究家」という職業を確立するのに、 35年。私がトレイルランの研究を始めて10年にも満ちませんので、今後も試行錯誤しながらトレイルランニングの一つ一つの動作を究明し、実践で技を磨き、知識を得ていきたいと思います。

話の中心は「武術研究」の話題が中心ですが、ランニングなどほかのスポーツにおいても発想法を学ぶのにもおすすめです。「練習量に対して、努力が報われている気がしない」という方は、ぜひ読んでみてください。

【努力が報われない理由とは?】
『できない理由は、その頑張りと努力にあった』甲野善紀・著







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【名前】安藤 大(あんどう ひろし)HIROSHI ANDO
【通称】キャプテン、赤い彗星
【経歴】プロ・ランニングコーチ

トレイルランニング歴は15年以上、コーチ指導歴は13年以上、初心者にも「わかりやすい」と指導には高評価がある。

「体育の成績は2、走るのは苦手」だった人がランニングコーチに。

自身も現役のランナーでこれまでに「百戦錬磨」100戦以上、海外28か国30地域でレースに出場し、トレイルランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現中。

2012年から「はじめてのトレイルラン」教室を開講し1万人以上が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓発活動を行い、グループランの楽しさを伝えている。

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