【超一流になるためには目的のある練習、限界的練習が大事】
『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン Vol.102
本日は久しぶりに面白かったヒット本です。『超一流になるのは才能か努力か?』はフロリダ州立大学心理学部教授で、30年にわたり超一流研究を続けてきたという著者、アンダース・エリクソン氏が、超一流の共通点をまとめた新刊です。
本書では「限界的練習とは何か」を大きなテーマとしながら、超一流になるためのエッセンスが凝縮されています。たとえば、
・超一流の中に、「練習が楽しい」と答える人など一人もいない
・一番重要なことの一つは、優れた教師を見つけ、その指導を受けること
・褒めて伸ばすは、やがて使えなくなる
・心的イメージの重要性
・ルーチン(決まった所作)を決めることの重要性
・楽しくない練習を継続できる人と継続できない人
など、コーチとしても選手としても学びのある事例がたくさん紹介されており、お子さんのいらっしゃる方には自分の子どもの教育にも役立つ話としても学びがあります。
ランニングでも日ごろだらだらと練習するのではなく「一つ一つのフォームに集中して走ることが大事だ」と気づかされる説明もあります。「優れた指導者を見つけ、その指導を受けること」「どうやって指導者を選べばいいのか?」など一読する価値のある一冊です。
▼本書より
声調言語を使わずに育ったアジア系の人は、他の民族の人と比べて絶対音感の出現率は特段高くないことが明らかになった。
実験に参加した全員が、トレーニングが完了した時点で絶対音感を身につけ、ピアノで演奏される個別の音符を正確に識別できるようになっていた。適切な経験と訓練によってたいていの人が習得できる能力であることを明確に示唆している。
分野を問わず、技能を向上するための最も有効な方法は例外なく、同じ一般原則を満たしている、と。われわれはこの普遍的アプローチを「限界的練習」と名づけた。
目的のある練習で一番大切なのは、長期的な目標を達成するためにたくさんの小さなステップを積み重ねていくことである。
重要なのは「うまくなりたい」といった漠然とした目標を、改善できそうだという現実的期待を持って努力できるような具体的目標に変えることだ。
チェスプレーヤーの能力を予測するうえで最も重要な説明変数は、他のプレイヤーとの対戦に費やした時間ではなく、このような分析に費やした時間の長さだという。
どの生徒も練習頻度は良く、うまくなりたいという意欲も高かったため、こうした差異は主に生徒が自分の間違いをどれだけ認識できるか、つまり曲に対する心的イメージがどれだけ有効なものであるかに起因していた。
サックスの少年は曲について明確な心的イメージを持っていたため、自分のミスに気づき、それを次に練習するときに覚えていて直すことができた。
第一に、傑出したバイオリニストになるには数千時間の練習が必要であること。近道をした者、比較的わずかな練習でエキスパートレベルに達した「天才」は一人もいなかった。
あなたが成功するために一番重要なことの一つは、優れた教師を見つけ、その指導を受けることだ。
一般的に教師は、自分あるいはそれまでの教え子が到達したレベルまでしか指導することはできない。
優れた教師には、その分野で他人を教える技術と実施兄教えた経験がある程度必要だ。プレイヤーとして成功していても、他人に教える方法をまったく知らないため教師としては最悪という人は多い。自分ができるからといって、他の人にやり方を教えられるとは限らない。
一番良いのは、今のあなたと同じぐらいのレベルのときにその教師の指導を受けはじめた生徒に聞くことだ。彼らの経験は、あなたがその教師に学ぶことで得るものに一番近いはずだ。
コーグリンは意識して自分がやっていることに没頭するようになり、プールにいる時間をフォーム改善に使うようになった。タイムが本当にはじめたのはそれからで、練習中にフォームに集中するほど競技会で良い結果がでるようになった。
あらゆる点で最高の動きが週間として身体にしみこむまで、一つひとつを繰り返し正確にやることだ。
目的のある練習あるいは限界的練習の最大の特徴は、できないこと、すなわちコンフォート・ゾーンの外側で努力することであり、しかも自分が具体的にどうやっているか、どこが弱点なのか、どうすれば上達できるかに意識を集中しながら何度も何度も練習を繰り返すことだ。
優れた教師やコーチの役割は、あなたがその時々に課題としている特定の技能を向上させるのに役立つような練習法を考えること。
【超一流になるためには目的のある練習、限界的練習が大事】
『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン Vol.102
管理人:大阪府生まれ。トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。2012年に起業、日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ、マラソン作家。指導歴12年で、初心者にもわかりやすい指導と表現で定評がある。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。2024年10月にAmazon(アマゾン)より電子書籍『極寒!はじめての北極マラソン』を初出版。