【「食べてすぐ歯を磨く」は間違いだった?】
『歯はみがいてはいけない』森昭・著 Vol.108
「歯科医院の数はコンビニより多い。」
2010年の統計では、全国の歯科診療所は68,167施設。一方、コンビニの店舗数は42,865店。今はそれ以上でしょう。
私の自宅近くでも半径1km以内にざっと思い浮かべただけでも歯科医院は10ぐらいはあると思います。
どうしてそこまで歯科医院が増えたのか?
子ども時代に歯科医院に通っていたときには予約しても待ち時間は30分以上、診療時間はわずか10分、20分で終わり「次回また来てください」といつ終わるともわからず、何度も通院を促されることに子ども心ながらにも正直疑問に思っていました。(今は昔以上に競争過多であり歯科医院の対応も大分変わっているように思います)
歳を重ねて美味しいものを美味しく食べられるのは健康な歯があってこそ。
スポーツでも歯のかみ合わせが大事、そう考えて手に取ったのが、本書です。
『歯はみがいてはいけない』とは刺激の強いタイトルですが、中身を読まずタイトルだけ目にして歯を磨かなくなる人はいないでしょう。唾液分泌を促進させる予防歯科(デンタルエステ)を啓発する著者が、 歯科常識や良い歯科医院の選び方を指南した一冊。著者は「日本人の大量の寝たきりを生み出している原因は「歯」です」と言い切ります。
・1日3回の歯ブラシが実は体には有害である。
・「食べたらすぐみがく」というのは日本だけの習慣
・起きてすぐに「コップ一杯の水を飲む」というのも良くない
など衝撃の内容ばかりでした!本も付箋だかけになりました。
早速本書の中のアドバイスを見てみましょう。
▼本書より
日本人の大量の寝たきりを生み出している原因は「歯」。
「食べたらすぐみがく」というのは日本だけの習慣です。ほかの先進国では、むしろ「すぐみがいてはダメだ」と言われています。
歯ブラシは1か月以上同じものを使っていたら、バイ菌で磨いているも同然です。
歯ブラシよりもデンタルフロスのほうが何倍も大事です。
歯みがきの本来も目的は”食べかすをとる”ことではなく、”歯垢をとる”ことです。英語ではこれを”Plaque control(プラークコントロール)”と言います。
歯磨剤企業は、毎食後の歯みがき習慣に「スッキリ」という付加価値をつけて、日本人の歯みがき習慣をつくりあげました。一日3回食べたら、3分以内に、3分以上歯みがきをするという「3・3・3運動」も、もともとは歯磨剤企業の商業キャンペーンでした。
みがき方が足りないのではなく、みがくもの、みがくところ、みがく道具、みがく時間が間違っている。
みがくものー食べかすではなく、歯垢
みがくところー歯と歯の間が最重要
みがく道具ーデンタルフロスをメインに、歯間ブラシも併用
みがく時間ー就寝前と起床直後
歯みがきは、虫歯予防のためするのではない。
唾液はまた、食べかすを押し流し、感染症を引き起こす細菌のかたまり=歯垢の増殖を抑える働きをしますそれにより、全身の健康が蝕まれたり、寝たきりになったりするリスクを低減させることができます。
歯周病の人は健康な歯ぐきの人に比べて、心筋梗塞を起こす確率が3倍高い(2007年、米国歯周病学会)
「良い歯科医院」の見つけ方
①院長やスタッフ紹介が顔写真付きで載っている
②開業して3年以上であること
③歯科衛生士が複数人いる ※2人以上
④相談室がある
⑤CT、マイクロモニター、レーザーがある
⑥診療時間
電話でわかる医院の良し悪し
□3コール以内で出るか、出ない場合「お待たせしました」という言葉があるか
□医院の名前を言っているか
□電話口の人が名乗っているか
□医院の場所を知っているか同課の確認はあるか
□質問や疑問がないかの確認があるか
□声が明るいか
□電話予約に対してのお礼の言葉はあるか
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「一日3回食べたら、3分以内に、3分以上歯みがきをするという「3・3・3運動」も、もともとは歯磨剤企業の商業キャンペーンでした。」という話には思わず納得しました。「喉が渇く前に水分補給を」「運動中にはスポーツドリンクを」なども飲料メーカー企業の商業キャンペーンですからね。本来は水で十分なのに、水分補給のしすぎるによる問題は述べられていません。
個人的には、科学的根拠に乏しい企業の商業キャンペーンには踊らされないよう常に注意をしています。
「電話でわかる医院の良し悪し」は一般的な企業電話対応にも通じるものだと思います。歯科医師から患者さんに向けてのお願いもためになりました。
これは必読です。
【「歯を磨いてはいけない」は本当なのか?】
『歯はみがいてはいけない』森昭・著 Vol.108
管理人:トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。大阪府生まれ。日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ。大阪府出身。2012年に起業、実践と科学的知見に基づいた指導は「具体的でわかりやすい」と初心者の指導に定評がある。歯に衣を着せぬストレートな物言いが評判。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。