『RUN+TRAIL Vol.11 OMMの魅力』 2015年4月号
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
本日は2015年2月27日現在、国内唯一のトレイルランニング定期刊行雑誌『RUN+TRAIL(ランプラストレイル)』の最新刊です。最近では大手書店だけでなく、地元の書店でも平積みされていたり、最新刊コーナーで目にすることが多くなりました。トレイルランニングの人気の広がりとともに、着実に注目を集めています。
さて、今号の表紙は梅宮アンナさん。「なぜ梅宮アンナさんが?」と思われた皆さま。梅宮アンナさんもトレイルラン愛好家の一人です。ただケーブルカーに乗ってハセツネのコースを走ったり、ジムのトレッドミルで傾斜13%つけてトレーニングするまでの”ガチ(本気)”とは僕は知りませんでした。はじめてのフルマラソンがホノルルマラソンで5時間55分かけて完走し、その次がサハラ砂漠マラソン250kmにチャレンジというのも驚きの話です。番組企画ではなく自費で、自分の決断での参加だそうです。
本誌の10%以上の紙面が割かれている、『OMM JAPAN2014レース』。OMMとは、「ORIGINAL MOUNTAIN MARATHON」の略称。イギリスから日本に上陸した新スタイルのレースで、ロゲイニングやオリエンテーリングに似ていますが、大きく異なるのは1泊2日の山中泊のレースで必ず2名1チームで行動し、スタート直前に地図を渡されて、目的地としたポイントまでの道を自分で探して進んでいくというものです。
そうした通常のトレイルランレースとは大きくことなりながらも、第一回大会のある種目は、7分で定員に達したのだそうです。残念ながら選手がエントリーした理由などは本書ではインタビューされてませんでしたので、そうした記述もあれば興味深かったと思います。
OMMのような形式の大会については、僕は日本上陸前から知っていました。あるイギリスのウルトラトレイルレースに出場するため調べていたところ、「イギリスでは決まったコースはなく、それぞれの選手が好きなルートで、指定されたピークを進むんだ。ルールが違うので、驚くかもしれないよ。」と地元の人から聞いて、「そのルールでは、土地勘のある地元選手が有利だな。」と見送っている経緯があります。それがイギリスのスタイルなのかどうかわかりませんが、海外では「国が変われば、ルールも変わる」と一つ考えておいた方がよさそうです。
本文中の「山勘(やまかん)」という言葉に思わず、「それが重要だ」と僕も頷いてしまいました。道の分岐があったときに、こっちが正しいルートだなって直感的に判断を下せることです。本書では2014年に第一回開催された『OMM JAPAN2014レース』に始まり、山の天気を読む、地図読みなど山でのリスク管理の内容が中心となっています。
死の危険もある低体温症にならないために覚えておきたい「3つの数字」
1.100m高度が上がるごとに気温は0.6℃下がる
2.風速1mごとに体感温度は1℃下がる
3.水の熱伝導率は空気の約25倍
山についてもっと深く学んでみたい方は、ぜひ抑えておきたい一冊です。
今号はポスターもついてお得です!写真は、『北九州・平尾台トレイルランレース』
◆本誌の文中より
装備なんて雨でも晴れでも変わることなんてないんです。山で最悪の事態を想定したら、装備なんて変わらない
レギュレーションに通るためのアイテム集めをしてしまったり、どうせ使わないかもしれないものだからと軽量化してしまうのは、いまのトレイルラン的な発想だと思います
OMMジャパンを完走できた、できなかったかは実力ではなく慣れの問題が大きい
OMMジャパンって夜の宴会が楽しい、なんて思って今年エントリーしてくる人がいたら、それは違うと言いたいですけどね
「OMM」は山の厳しさを知るために山岳地図を読めるようになりましょうとか、山では誰も助けてくれないから責任感を持って登山しましょうといったことを1泊2日で体感できる競技
OMMという舞台なら、地図読みをマスターしたり、アイテム選びに長ければ、強力な走力にも勝てる可能性が出てきます
何でも自分で考えることが山のスキルを上げる第一歩
もし雨予報なら季節に関係なく上下でレインウェアを持ったほうがいい
森林限界内の山では落雷や沢の増水が怖い
死の危険もある低体温症にならないために覚えておきたい「3つの数字」
100m高度が上がるごとに気温は0.6℃下がる
風速1mごとに体感温度は1℃下がる
水の熱伝導率は空気の約25倍
『RUN+TRAIL Vol.11 OMMの魅力』 2015年4月号
◆目次
梅宮アンナ 私の人生を変えた砂漠とトレイルラン
山力を磨こう 望月将悟
OMM JAPAN 2014
山に試走はない
山の天気を読む
山ナビスペシャル対談
第一回FAIRYTRAILびわ湖高島トレイルランニングinくつき ほか
『RUN+TRAIL Vol.11 OMMの魅力』 2015年4月号
管理人:トレイルランナーズ大阪代表、米国UESCA認定ウルトラランニングコーチ。大阪府生まれ。日本では数少ないマラソンとトレイルランニングの両面を指導できるランニングコーチ。大阪府出身。2012年に起業、実践と科学的知見に基づいた指導は「具体的でわかりやすい」と初心者の指導に定評がある。歯に衣を着せぬストレートな物言いが評判。
自身も現役のランナーで過去15年間で100大会以上に出場をし、ランニングを通じて日本中・世界中を飛び回るという「夢」を実現し、28か国30地域のレースに出場。
2012年から『はじめてのトレイルラン』教室を開講し、1万人超が体験する人気に。山でのマナーや安全な走り方の啓蒙活動にも注力し、グループで走る楽しさを伝え続けている。